日本情報考古学会は、最も広義に捉えた「人類のあらゆる活動の痕跡」を考究する学問としての考古学と、その実践現場で発生する「膨大で多様な情報」を科学するデータサイエンスとが融合した研究と成果について、①その研究を促進すること、②その教育と普及に携わること、③その成果を社会に還元すること、の3軸を大きな目的とする学会です。考古学や埋蔵文化財学はもちろんのこと、文化財科学、博物館学、情報科学、統計学などの中核的な諸分野に止まらず、『過去の人類の諸活動⇒文化・社会』研究を『その痕跡⇒情報』によって実践する、学問分野環を持つ学際性に特徴があります。
この学際性は、本会発足以前より進められてきた、『考古学におけるパーソナルコンピュータ利用の現状』研究会(帝塚山大学)と、『考古学における計量分析』研究会(統計数理研究所)から通底する理念であり、21世紀を迎えた今日、なおいっそう重要性が増しているのが現状です。現在の学会員の主な専門分野は、
- 考古学
- 文化財科学
- 文献史学
- 歴史学
- 文化人類学
- 形質人類学
- 民俗学
- 経済学
- 社会人類学
- 情報工学
- 統計学
- 映像工学
- 博物館学
- 地理学
- 構造工学
- 構造地質学
- 土壌学
- 無機化学
- 有機化学
- 第四紀学
- 古生物学
- 認知科学
- 行動計量学
- シミュレーション工学
- 心理学
- 地理情報科学
- システム工学
- etc..
となっています。
具体的な研究については、次のような内容の研究を取り扱ってきました。
- 遺物・遺構の形状に関する計測技術
- 形状計測データの計量分析や解析
- 文化財の物性に関する理化学的データの計測・測定
- 物性計測・測定データの計量分析や解析
- 遺跡の地理・歴史的情報に関する計測・測定
- 遺跡時空間情報に関する計量分析や解析
- 歴史的現象をめぐるコンピュータシミュレーション
- 文化モデルの理論的・方法論的研究
- インターネットによる情報の公開や利用促進
- 文化財の物性に関する理化学的データの計測・測定
- バーチャルミュージアム
- 2D・3Dデータアーカイブ・データベースに関する技術的研究
- 3D考古学(三次元考古学)
- デジタル技術による考古学の普及・教育・地域活性化(パブリック考古学)
- 考古・歴史、および文化現象理解のための情報理論
本学会は、特定の手法や研究分野が中心の学会ではなく、同じく理論と応用、モデルと実践のいずれをも中心とした学会ではありません。あくまでも、「過去の人類のあらゆる活動」と「その痕跡としての情報」を駆使して、ヒト -その複雑なイキモノ-の歴史を議論し、関連する知見を高めてゆくことを目指しています。